へそほや
(5月の連休に仙台へ行った時のお話しです・・・)
今回の帰省も行きは旧関川村から山形を通っていく経路。切り立った磐山の木々はまだ緑色も淡く、川は雪解けの水を湛えて翡翠色に流れていた。
小国町あたりの直売所で蕎麦を食べ、お店を覗いてみるとさすがは山菜の宝庫!!

他ではあまり売られていない野菜山菜が多くて嬉しくなる。今回は行者ニンニク、赤コゴミ、洋ワサビを購入。

赤コゴミは図鑑では「キヨタキシダ」という名で紹介されている。上越ではあまり見かけない気がする。

アク抜きの必要もなく、茹でて胡麻和えにしたところパキパキと歯ざわりもよく、とても美味しかった。
洋ワサビは上越では「ごんぼうわさび」「畑わさび」などと呼ばれていて、英語ではホースラディッシュと言うらしい。上越で初めて知った食材だったけれど、食べてみると何故か本わさび以上に慣れ親しんだ風味で、実は粉ワサビの原料はこちらの洋ワサビだった。当方はこのワサビが好きで、ワサビの付け合せに刺し身を調達してきたりする。
行者ニンニクは仙台の実家で肉や刺し身のトッピングに大活躍した。食べたことがない方のために一応説明すると、味覚も料理への応用も、ほぼニラと思って間違いない。北海道が主な自生地で利用も活発だけれど、上越近郊にも自生があるようで、採集物を頂戴したことがある。
今回の帰省は父の八十歳の祝いということで兄弟で集合したのだけれど、主賓の父が肺炎で入院してしまい、病院で黄色いちゃんちゃんこを着せて記念写真を撮った。
仙台へ行くと魚屋さんを覗くのが楽しみで、今回もこんなものを発見して即買いした。

ホタテの卵巣精巣の部分だけサッとボイルした半生加減のものがたっぷり入って、いくらだったか忘れてしまったけれど、たぶん嬉しいお値段だったはず。これは痛風の人には毒だけれど、当方は予備軍だと言われているのでまだ大丈夫。そのままを洋ワサビ醤油で堪能した。
上越へ戻る日に仙台中央卸売市場近くの「杜の市場」でお買い物。ホタテや特大殻付き牡蠣などを持ち帰り、家族に振舞まった。牡蠣は生にポン酢で食べたけれど、一口では食べきれない大きさだった。
それと珍品が一つ。
「へそほや」なるものが目につき、なんなんだと説明書きを読むと、ホヤを剥くときに石付きの部分を切り落とすのだけれど、この時に石付き側に少量くっついて切れてしまう身の部分を「へそ」と言うのだそうな。実は一番美味しい部分で、自分なら捌きながらチュルッといってしまうところである。それだけを寄せ集めて小袋に詰めたものということなので、これは贅沢。

(次女のパジャマTシャツ)
我が家でホヤ喰いザルは私だけなので、冷凍保存しておいたものを後日、昼食に食べた。昼からホヤ喰い。

へそだけのホヤは内臓的な部分もないので色合いが上品で、醤油を付けながら食べたけれど、甘みがあって意外にも温かご飯によく合った。ウニ丼に近い感じ。
残った乳白色の汁を口にしてみると濃厚過ぎる潮汁のようで、海の滋味にあふれてはいるものの、にがりっぽい苦さがある。そこで試みに水で薄めてかつお風味調味料を少々、卵を溶き入れ、摘んできた野良三つ葉を入れて吸い物にしてみた。

これが意外な美味しさで、南部八戸名物のウニやアワビの入った超贅沢なお吸い物「いちご煮」に近いものになった。
ホヤは奥が深い・・・また、ホヤの肥る夏が来る。