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田んぼのバッタ

田んぼにバッタが沢山いる。

田植えの後しばらくして、数ミリの小さな薄緑色のバッタが稲にたかっているのは確認していた。稲から振り落としてもバッタは水に浮いて、水面を蹴って上手に移動する。

出穂の時期を控えて、害虫の防除を行う時期である。畦を歩くと、成長したバッタが畦際の稲から田の中の方へピョンピョンと飛び移って姿を隠す。稲の葉が食べられてギザギザになっている。

数年前、義父が急病を患い、にわかに田んぼの作業を代行したことがあった。その時、カメムシなどの害虫防除の殺虫剤を散布するのが嫌で、その年は殺虫剤を省略した。舞い上がる粉煙はきっと田んぼの害虫ばかりではなく、あらゆる生命に大小の影響を及ぼす。以前からそれが気掛かりだった。

その年、収穫期の田んぼには白く枯れた穂がたくさん見られた。収量も例年に比べて随分少なかったらしい。原因を調べたところイナゴの食害に状況が一致していた。茎を囓られて穂が枯れてしまうのである。

稲を食べるバッタ

害虫防除の薬剤には粒状のものもあって、それは稲が薬を根から吸い上げて、その稲を食害した害虫を殺すのだという。その稲に実る米を人が食べるのだから、本当に大丈夫なのかと心配になる。

これまでに人体に害があるとして使用禁止になってきた農薬も、使用されていた時には常に安全だと言われていたのであるから、薬品メーカーの言う安全は信用できない。なので、なるべくならそのような農薬は使いたくないし、子供達に安心して食べさせられる米を作りたい。

ちなみに地元では殺虫剤の散布のことも「消毒」と言っている。農業現場での慣例なのだろうか? 何か恣意的に事を矮小化しているように思われて違和感を覚える。


田んぼのバッタについて調べてみたところ、なるほどこのバッタこそが、かの有名なイナゴであることを知った。自分ではもっと緑色が濃くて内腿の赤いバッタのことをイナゴだと思っていたので、認識を改めた。

小学生の頃、イナゴが食べられると聞いて、さっそく捕まえてきて佃煮のようなものを作り、近所の幼なじみと食べた憶えがある。どうやらイナゴではないバッタを食べていたようだ。そのバッタも今年は多く発生していて、フキやアジサイの葉を穴だらけにしているけれども、確かに田んぼには姿がない。

田んぼの害虫でとくに迷惑がられているのは数種のカメムシである。未熟な籾の中の乳液状の米の原質を、針のような口で吸引するのだという。それをされると実った米の一部が子供の虫歯のように黒く欠け、炊いた時に見栄えが悪くなる。そういう米がまじるとその田んぼで収穫される米全部の値段が下がってしまうので、米に収入を頼っている農家はどうしても薬剤による防除が欠かせないのである。

幸いと言うか、我が家の2反ばかりの田んぼで収穫される米は全て自家消費用であるので、多少見栄えの悪い米が混じったとしても、どうということはない。


前置きが長くなってしまったけれど、そんなこんなで今年も殺虫剤は撒かず、イナゴを生捕りにして食べ尽くしてしまおうと思い立ち、大きめな捕虫網を探してみた。虫好きの大人が持っている捕虫網は数万円もしたりするけれど、ネットショップでそこそこ丈夫そうな品物が千五百円ぐらいで売られている。で、結局それと同じ商品を近所のホームセンターで見つけて九百八十円で購入した。

「私達が子供の頃は学校でイナゴ捕りをさせられてね。たくさん捕って持って行くと褒められたの。袋の口に竹筒を付けたのを持たせてもらってね、朝早く、まだ露の上がらない涼しい内はイナゴの動きが鈍くて、子供の手でも捕まえられたの・・・」

そんな話をしてくれた方があった。

さっそく竹を切って袋を製作。なるほどこれなら口が空いたままでも筒が返しになって袋の中のイナゴは外に出ることが出来ない。昔の人の知恵は本当に侮れない。

それにヒントを得て捕虫網も改良した。あえてイナゴの動きの活発な日中に田んぼの中を歩きながら当てずっぽうに網を振り回し、飛び逃れようとするイナゴを網に収めようという魂胆だったのだけれど、網の口元にしがみついて頑張るイナゴがけっこういて、取り込みが慌ただしい。うかうかすると逃げられてしまう。そこで捨ててあったビニール袋を開いて網の開口部の内側に縫い付け、フラップを作った。

改良虫取り網
(このビニールシートを内側に折り込んで使用する)

イナゴは滑ってスルリと網の奥に収まり、這い登ってきてもフラップの内側なので逃げられず、オドサマは悠々とイナゴをつまみ出し、腰の袋の竹筒の口に放り込むのである。

もう二十年も前か、糸魚川市の山中で舞うように捕虫網を振り回している成人男性のグループを見て、いい大人が何をやっているのだろうと奇妙に思ったことがあった。若いオドサマはかなり否定的な目で眺めていたのだけれど、結局その一行に声をかけてもらい、焼きそばやソーセージをご馳走になった。飯盒にこしらえたアザミの葉の味噌汁を啜っているオドサマを不憫に思ったのかもしれない。一行は何とかという珍しい蝶を探しに来たのだということだった。

時を経て、腰に竹筒付きの袋をぶら下げて、田んぼで大きく捕虫網を振り回しているオドサマは、人の目にはどのように映っているのであろう。まぁ、どうでもよいのだけれど。

結構捕れた。昔の小学校の先生なら褒めてくれたかもしれない。

古式バッタ入れ


佃煮が一般的なようだけれど、ビールとの相性を考えて塩炒りにしてみることにした。油で揚げたいところだけれど、残った油の再利用に家族から非難を浴びそうなので、下茹でしたものをカラリと炒って油を垂らし塩を絡める・・・というイメージ。家の調理器具をつかうなと長女に釘を刺された。君たちに安全なお米を食べさせたいが為の試みであるのだけれど・・・でもまぁ、つかっちゃうけどね~ペロンペロン。


茹でたら赤くなった。なんだかエビ的で嬉しい。

茹で上げバッタ

よく炒ったら茹でてしんなりしていたイナゴが乾き、ボリュームが回復してきた。油を垂らし、さらに炒めて水分を飛ばして塩をパラパラ。いい感じだ。

塩炒りバッタ


夕食後、イナゴをつまみにして一人二次会を楽しんだ。食感はやはり小エビに近く、ビールにもよく合う。一匹残らず完食した。イナゴも成仏してくれただろうか。オドサマの体の中でイナゴは消化され、オドサマの体の一部になってゆく・・・仮面ライダーの勇姿が脳裏をよぎった。









テーマ : 料理
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

オドサマ

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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