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モグラモチ



新年仕事始めの月曜日。仕事に伺ったお宅で

お茶飲みに来たバアちゃんから面白い話を聞いた。


「ココんちのジチャが死んでから絶えちゃったけど、

正月にモグラモチ追いって、したもんだけどね・・・」と。


カンジキを履いた齢九十のお爺さんが

ワラ打ちに使う槌(つち)に紐をつけて引き廻しながら

雪に埋もれた各家の周囲を回りモグラモチを追い立てたそうだ。

「モグラモチどけどけ、どかんとツチそわせんぞ・・・」


「モグラモチって何ですか?」と訊くと、

「あら、おまさんモグラモチ知らんかね?ネズミみたいだけど

鼻がこう長くて、手が平らで強(こわ)げな爪が付いてて・・・」

「モグラですか?」

「そう、モグラモグラ。田んぼの畦に穴開けるんで水が漏っちゃうんだわ」と。


「なんでモグラモチなんでしょう?」

「そうだねぇ・・・土を持ち上げるからかねぇ」


  モグラよ何処かほかへ行きなさい

  出て行かなければこの重い槌を背負わせてしまうぞよ


・・・といったことを木槌を引いた大人が真顔で唱え歩く姿を、

昔の子供達はどのように見ていたのだろう。

モグラにも優しい気がするし、長閑で、滑稽で、微笑ましい。

眼の前にいる二人の老婦人がまさにその子供達なのだ。

目を細めて笑いながら、いにしえの話をしている。

「ナタ預けられて、柿ん木にあずきんけ(小豆粥)くれて来いってね。

本当に木に切り込み入れたら叱られた。」

ナタを振りかぶって柿の木を脅かすのである。


  生るのか生らぬのかっ!生らぬなら切ってしまうぞっ!


その後でよしよしそーかそーか生るなら良しと

柿の木に小豆粥をふるまうのである。


「それで、こちらのお爺さんが亡くなられてから

モグラの被害のほうは大丈夫なのですか?」

「そうだねえ、そういえばモグラモチ、みかけなくなったねぇ・・・」

件のお爺さんは、戦時中を含めて長く学校長を務められた方だそうだ。

戦時教育に関わったことに、随分負い目を感じておられたらしい。


お爺さんが作って皆に配ったという標語手拭いが座敷に飾られている。

いくつかの標語の中で

「使わねば、鎌鍬錆びる」というのが印象に残った。

面白い人が居たんだなと、その時代の人達の心の豊かさを想った。

清々しい気持ちになった。



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テーマ : 趣味と日記
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

オドサマ

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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