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オニグルミ

仕事で週に何度も往復する道端に

冷たい清水が出ている。


観音清水


この夏は雨が少なかったので

オドサマの水飲み場のほとんどが

枯れてしまっていた。

そんな中この清水だけは、

つねに勢い良く冷水を吐き出していた。



この菖蒲という集落は

県境をはさんで長野県北部の栄村と接しいていて

あの東北の震災後に間もなく起きた大きな地震で

栄村同様に大分な被害があった。

それでなくても豪雪や高齢化で過疎化の深刻な地域で、

家屋の修繕をあきらめて土地を離れた世帯も多かった。

その地震で、水道が止まった。

3月といえば

まだ全域で2m以上の重い雪の残るこの地域で、

水道管の破断箇所を探すのは容易なことではなかった。

その時、この清水が地域の人達の支えとなった。



昨冬の4mを越した積雪の中でも、

誰がするものか清水は雪の壁から常に掘り出されていた。

以前はもっとささやかな水場であったのだけれど、

この春に石屋さんが腕を振るって銘水らしくなった。

観音清水というらしい。

傍らに馬頭観音が佇んでいる。



車にペットボトルを常備しておいて水を汲みに寄る。

安焼酎の4Lの取っ手付きの空きペットボトルが

車の中にゴロゴロしているのは

考えてみれば不謹慎な感じはする。



オニグルミの木があり

水場のまわりに果皮に包まれたクルミが落ちている。

通り端なのでそれを車が踏んづけて、

カラスやキジバトが喜んでうまいうまいと啄んでいる。

誰も拾わないのだろうか。

もっとも、この恵みはこの辺りには豊富にあるので、

土地の人はあえて手を伸ばさないのかもしれない。


落ちグルミ


足の裏でゴロッとすると難なく果皮が外れる。

小学生の頃の夏休み、学校のプールへ行った帰り道、

クルミが大好きだったオドサマ少年は

樹上で房になっているこの実を取ろうと木登りをして、

5m程の高さから転落した。かなりの高さだ。

パチンコ玉のように下の枝に絡まりながら落ちたので、

幸いスリ傷とタン瘤と痛い思いをしただけで済んだ。

未熟なオニグルミの果皮は簡単には剥がれず、

石にこすりつけて果肉をけずり実を取り出した。

手が渋で茶色く染まり、二週間はその色が取れなかった。

そんな苦労をして手に入れたクルミは、

残念ながらちっとも美味しくなかった。

未成熟なのだから当たり前だ。

馬鹿な少年だったなと思う。

でも今も、たいして変わっていない気もする。

そういえば、

手を茶色にしている子らは他にもけっこういたなぁ。



黒くとろけた果肉を清水で洗い流すと、

成熟した硬い殻が現れた。


洗いグルミ


これを干しておいて保存する。

中身の取り出し方は、

子供の頃は知恵が無いので石で叩き割っていた。

くだけた殻の欠片が実に混じり、いくらも食べるところがなかった。

かなり硬いので上手く叩かないと割れずに弾けて

顔面につぶてをくらうこともあった。

これは大島村に住んで初めて知ったのだけれど、

カラカラと鍋で乾煎りをすると

次第に縫合線にそって殻の先端が開いてきて、

そこに包丁を入れてスパンと切り割る。

熱いので気をつけて行う。

後はそれをホジホジする。

婆ちゃんが孫に手伝わせてするのに調度良い仕事だ。

「あら~、大っきくて、美味しそうにとれたね~」

などとおだてると、孫はその気になってクルミ掘り機と化す。

老獪というべきか・・・



このクルミは沢の斜面などに多いためか、

「サワグルミ」とも呼ばれている。

小さな沢に落ちたその実が、

川をつたって海に流れつく頃には

果肉もきれいに洗われていて、

それを老夫が孫を連れて散歩がてら

夕日の海岸で拾い歩く姿は直江津あたりの風物詩だ。

「お~、いっぱいひろったね~」

などとおだてると、

孫は嬉々としてまたクルミを探しに走って行く。

老獪というべきか・・・(笑)

けれどそんなふうに騙されながら自分で拾ったクルミで、

例えば胡桃味噌などを作ってもらって、

餅にでも塗って食べる時、

その美味しい食の記憶は一生の宝ものになり、

郷土愛のようなものの核になっていくのかもしれない。



クルミの味は、いま食べてもとても美味しいと思うけれど、

子供の頃はもっと天にも昇るような美味しさに感じていた。

何を食べても体の基になる時期なのだから、それはそうだろう。

きっと子供に必要な栄養を豊富に含んでいるのだ。



今回収穫したオニグルミを使った料理はまたいずれご紹介します。

それでは今日はこれまで。おやすみなさい・・・。











テーマ : アウトドア
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

オドサマ

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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