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フジツボ(2015夏仙台帰省)



仙台で弟と暮らす両親のもとへ盆帰り。
夕方に上越を発ち、関川村から山形を経て深夜に宮城に入った。
車内で一眠りし、早朝、インターチェンジ近くの川で寄り道。

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釣り竿を出し、その場で捕まえたクモやバッタを餌にして魚の反応を探るも、当たり無し。
川は減水して魚の潜んでいそうなポイントも少なく、間もなく釣りは諦めた。


到着当日は父の受診に付き添った。
現在は3日と空けずに点滴を受けないと、血液中のアンモニア濃度が高くなり意識が無くなるのだという。
認知能力が低下して問題行動も多く、母や弟は毎日手を焼いて過ごしているらしい。
離れて暮していることを申し訳なく思う。

病院というのはとにかく待つところで、帰宅して遅い昼食を取りウトウトしたらもう夕餉の時間になっていた。
近所のスーパーで食材の買い出し。

イサキとカツオの刺し身、ホヤ、焼き鳥で晩酌。

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夕方のローカルニュース番組で地元のスキー場のユリ園の様子が映されていて、それを見た母が
「あらま~きれい」
と言ったので、二日目の予定が決定した。


翌朝、父の寝ている間に母とスキー場へ向かった。
道の両側が緑に覆われはじめると、もともと山菜採りの好きな母は採集者の目になって森の特徴を捉えはじめた。

「あら、赤松の林だ。きのごではりそんだの(キノコが出そうね)」

スキー場の近くにはキャンプ場もあった。
キャンプ場はキノコ散策には良い場所だ。
適度に人の手が入っていて風通しが良いのでキノコがよく出る。
それに母のような脚の弱った年寄りでも比較的歩きやすい。
良い遊び場所を見つけた。

スキー場の頂上にあるユリ園へ行くにはリフトに乗らねばならず、リフトの運行開始までだいぶ時間があったので周辺散策。

道端でツチカブリ(辛くて不味いキノコ)を見つけ、気配アリと森に少しだけ踏み込んでみたらチチタケが群生していた。
母を案内すると「わいは~」と感嘆し、膝の痛みが無くなったかのように動き出した。

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リフトに乗った母は

「初めて乗ったじゃ(初めて乗ったわ)」

と話し、途中頻回にリフトが停止するたびに何事かと動揺していた。
母のように花を見に来たお年寄りをリフトに乗り降りさせるのに係員も四苦八苦である。

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昼に帰宅すると父は用意しておいたオニギリにも手を付けずに大人しく寝ていた。
なにかやらかしているのではと寄り道を控えて戻ってきたのだけれど、まずはひと安心。
昼食は採ってきたチチタケを使って白河名物の温麺を作って食べた。

午後からはトイレに手すりの取り付け。
材料調達のついでに夕餉の食材も物色。
仙台のホームセンタームサシには食品スーパーが入っていて、けっこう品揃えが面白い。
今回は青森産のフジツボを見つけた。
しかも半額シール付き。
他にもツブ貝や、カラス貝(ムラサキイガイ)、ハマグリに似た千葉県産のホンビノス貝なども旨そうで、どれにしようか迷ってしまう。

「よしっ、今日は貝づくしでいこう(゚∀゚)」

ということで全部買い決定!

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貝喰いザルにとっては夢のような酒肴がととのった。
勤めから戻った弟も呆れたように苦笑いをしつつ目を輝かせている。
ヒラメの青唐辛子漬けとホヤも付けてなんとも贅沢だ。
父が若かった頃、よくフジツボで兄弟たちと飲んでいたものだと母が思い出を語った。
その頃は今のように高価な食材ではなく、カマス(藁などで編んだ袋)で買ってきて思う存分食べたのだという。

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フジツボは本当は貝の仲間ではなく、エビ・カニの仲間だ。
食味は他の食材では磯で採れるカメノテが最も近く、おそらく種族的にも近いのだろう。
たしかにその身はヤドカリを軟弱にしたように見えなくもない。
身をほじり出して口に放り込み、殻の中の汁を啜ると、エビ・カニに特有の濃厚な風味が口中に広がる。

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取り出したフジツボの身を父に勧めてみる。
父の中で失われてしまった何かがその味に反応するのではないかと、ふと期待してしまう。

「めが(旨い?)」

「ん?んん」

歯のない口でモニャモニャとフジツボの身を咀嚼しながら、父は真っ赤なトマトに箸をのばした。
父の萎縮した脳はフジツボよりも、食物感を湛えたトマトの赤に魅了されているようだった。



テーマ : 写真日記
ジャンル : 日記

プロフィール

オドサマ

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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