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タラの芽

春。
固くしまった残雪の上に、
斜面のどこからか土くれが転がり落ちる。
気まぐれな春の陽気。
妙に生暖かい南西の風。黄砂。
白い雪の上で、
黒い土くれの周りだけ雪が早く溶けて凹んでゆく様子を、
昔の人達も見ていたのだろう。

「昔は苗代を作る田んぼの雪を割るのが本当に大変だったの。
それで少しでも早く雪を溶かそうと思って土を撒いたり灰を撒いたり・・・肥やしにもなるしさネ(笑)」

今はそんなことをする人はいなくなった。
30馬力の除雪機を持ち寄って、一日で雪を吹き飛ばす。
人がその健気な労働力を他の何かで補おうと培ってきた工夫は、
動力機械の普及によって不要なものとなり、忘れ去られていく。

物が便利になることで、人は何かを退化させている気がする。
自然が見せる様々な現象は、時に有益で、時には脅威であり、
それらに適応してきた根源的な生存力のようなもの、
長い間、本当に長い間にわたって伝えられてきたものが、
いまこの時代に失われていっている。

タラの芽を探して自宅の裏山を歩きながら
上記のようなことを漠々と想っていたのである。

なぜタラの芽かというと、
このところタラの芽は天ぷら以外に
上手い食べ方がないものかと考えていて、
何か試してみようとおもったのだ。

裏山へ続く車道がいまだ雪で塞がっているので、
たぶんまだ人の入り込みは少ないだろう。

雪が残っているだけあってタラの芽もまだ蕾んでいて、
日当たりの良い側へと迂回して、
どうにか採り頃のものを採集してきた。

ここ数日のものだろう、幹の折られたタラの木を2本見た。
木の尖端に一番芽が出るので、
高い木だと棘だらけの幹を慎重に少しずつたわめて採取するが、
それが少し強引だったのだろう。

少し高い木の下で何か道具になるものがないか周りを物色する。
十手のように叉の付いた長い枝があればと目論んだのだけれど、
造林された杉林の中にはするりと一本になった杉の枝しか無く、
その細い枝先を手に持って
太い枝元をタラの木の途中の二叉に噛ませてみたら
上手く引っ掛かり、
てっぺんの一番芽を採取することが出来た。

タラの芽自生

タラの木の幹を棘に注意しながら辿っていて気付いた事があった。
幹の所々に枝の着く節があるのだけれど、
その部分は棘が少ない・・・と言うか、無い。
なので、安心して指をかけて良い場所のようである。
ご参考まで。

「タラの芽は、一番芽以外は取ってはいけない」と、
誰かに聞いたのか、何かで読んだのかは忘れてしまったけれど、
観察してみるとそれは自然の恵みを頂く正しい姿勢だと思う。
早く膨らむ尖端の一番芽はどうしても採取の対象となるけれど、
それは木の成長にとっても大事な部位だ。
一番芽を摘むと、その脇から小ぶりな二番芽が出るが、
それも摘んでしまうと尖端からその下の節までが枯れてしまう。
元気な枝が残っていれば良いのだけれど、
どうもタラの木は主幹に比べて枝は弱いのか、
枝を枯らしてすらりと一本になっている木が多い。
なので、木をいたわり来年も恵みを頂きたいと思えば、
やはり採取は一番芽だけに止めておくべきなのだ。

さて、天ぷら以外の食べ方。
以前、茹でて胡麻和えにしてみたことがあったけれど、
モサモサとしてあまり口触りがよくなかった。
そこで、いっそ細かに刻んでみることにした。
生のものを刻むとヤニのようなベタベタが面倒なので
一度茹でてからにする。
銅線は色出しにどうかと考えての試み。

茹でたタラの芽

多少は歯応えを残すように5ミリ角ぐらいに刻んだものを
油と塩だけで炒めておいた。

刻みタラの芽炒め

後日、その刻みタラの芽をご飯に混ぜて、
味噌焼きおにぎりにしてもらった。
不慣れな田んぼの作業を頑張ったからか、
普段はあまり山菜をかまいたがらない妻が
気持ちよく作ってくれた。

ウコギ科の山菜には他にウド、コシアブラ、
ハリギリなどがあるが、タラの芽は香りが温和なので、
きど味の苦手な人にも食べやすい。
ウコギ飯のタラの芽版ということで考えてみたのだけれど、
きど味苦味こそ山菜の醍醐味だと思っているオドサマには
ちょっとタラの芽の風味が物足りなく感じられるものの、
モサモサ感もなく、味噌の風味もよく、美味しく頂いた。
これはありだな、タラの芽ごはんの味噌焼きおにぎり。

タラの芽ごはんの味噌焼きおにぎり


テーマ : 趣味と日記
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

オドサマ

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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