秋の塩漬けに春を和える
細かな雨が降りつづいて、少し緩んで湿った空気が、残雪の上を静かに流れる。

こんな日はあの赤らんだ杉の木も花粉を飛ばしてはいないだろうから、マスクを外して青味がかった空気を味わう。

わずかに冬の匂いがするのは、雪の中に閉じ込められていたオゾンの匂いかもしれない。
今日は少しだけフキノトウを摘んで帰る。ちょっと試してみたい料理を思いついたのだ。

昨年の秋口に採集して塩漬けにしておいたアミタケを、塩出しして醤油味で甘辛く煮ておいた。それに普段ならトロロ昆布と赤唐辛子でも入れて食べるのだけれど、郷里の青森では食用菊を加えたりもするので、もしかすると同じキク科の植物であるフキノトウを合わせたら面白いかもしれないと思ったのである。

案の定、この組み合わせは絶妙で、おそらく今後は定番料理に位置づけて、これから毎年春には他人様に無理やり食べさせドヤ顔をして見せられるような、そんな一品になった。

フキノトウは茹でて水に晒して刻んだだけだったけれど、たぶん少し下味を付けておいた方が、より美味しかったかもしれない。まだキノコの保存があるので、また試してみようと思った。