沢庵と鰊のピクルス


仕事で伺ったお宅で沢庵を頂戴した。
去年も頂いたのだけれど、とても美味しかった。

この地域の気風というか、慣習というのか、来訪者があると誰彼となく簡単に家に招き入れてお茶を勧める。といってもすでに若い世代にはそういう風は無くなっているので、今は年配の方々に残るだけの長閑な美習である。

お茶を飲みながら食べるのは菓子ばかりでなく、漬物や煮物など、ご飯のおかずのようなものも色々並べて食しながら、その料理の作り方なども話題にして会話を楽しむ。

70代のご夫婦なのだけれど、エスプレッソコーヒーメーカーなどもあって、

「このウドの煮物、緑色がきれいですね。漬けておいたものですか?」
「うふふ、銅の鍋で煮るときれいな緑色になるんですのよ・・・」

などと言いながら、きんぴらゴボウや瓜の粕漬けなどを食べてエスプレッソコーヒーを喫するのである。

そんな感じなので仕事で訪問する際も、黙っていると当然のようにお茶の支度の手間をかけてしまうので、訪問時に「今日は後の予定が詰まっていますので、お茶を頂かないで失礼します」と事前に御断りをしておく必要がある。

そうすると、
「お茶も出さんでかんべんねぇ」
と、こうして手土産を頂いたりするのである。

自宅では義母の漬けた沢庵も食卓に上っているし、こうして漬け床から出した沢庵はじきに風味が落ちてしまうので、頂戴した3本のうちの1本は早速そのままを楽しませていただくとして、あとの2本を何か劣化しにくい形で美味しく保存できないものかと、車内に充満する沢庵の面白い匂いを嗅ぎながら考えた。

そこで、身欠きニシンと一緒にして郷里の味覚であるニシン漬け風なものにアレンジしてみることにした。沢庵の味は出来上がっているので、わりと簡単に美味しいものが出来るかもしれない。

半干しの身欠きニシンを買って帰り、皮は取らずにうるさい小骨をなるべく切断するように刻んで深型の密閉容器に入れ、リンゴ酢をドボドボと回しかけた上に沢庵をそれらしく刻んで入れる。塩気を調節するのに少量のお手軽浅漬け調味液と、材料が浸るようにさらにリンゴ酢を加えた。ニシンと沢庵のピクルスだ。

翌朝どんな具合かと様子を見てみたら、沢庵もニシンも漬け液を吸ってだいぶかさが増えていた。期待に違わず熟成したニシン漬けのようないい匂いがしていて、沢庵のひと欠けをつまんで食べてみたら、まさしく期待通りの味だった。

DSC_1041 (1)

上越では漬物に魚は入れない。魚介を合わせるといえば「はりはり漬け」のスルメぐらいだろう。たぶん、漬物に魚を入れる食文化は北前船を介して伝播したのではないだろうか。上越の沖には佐渡があり、航海力のある千石船は佐渡を経由して行き来していたという。

もともと酸味の出た漬物が好きなので、リンゴ酢とニシンの風味を吸った沢庵はとても美味しかった。酢で締まった半干しニシンも、ちょうど寿司ネタのコハダの様で、これも美味しかった。

・・・もうじき正月だ。
帰省すれば、きっと母はニシン漬けを漬けているだろう。
それをつまみながら、頂いた沢庵でこんなことをして楽しんだよと、話して聞かせることにしよう。



※ はりはり漬け・・・よく干した大根と細切りの昆布・スルメイカを合わせて漬ける新潟の郷土料理。カリカリと歯触りが良く美味しい。醤油味で松前漬けに通じるものかと思われる。

テーマ : 料理
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

Author:オドサマ
郷里の津軽地方ではナイスミドルをオドサマと呼びます。まだそれほどの年齢でもないのですが、故郷への親愛をこめてハンドルネームとしています。現在は新潟県東頸城在住です。古代、東北は採集民の楽土であったといいます。その血統によるものか、自然の中で食材の採集を楽しみ、調理を楽しみ、食べることを楽しむことで、日々心身が満たされています。そんな喜びをブログを通して多くの方にお伝えできればと思っています。

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